おもしろかん按針句会
2019年度(平成31年~令和元年)

TBSテレビの人気番組プレバトが始まったのが2012年10月、
「おもしろかん按針句会」が2011年どうよ
1年早くオイラ達の句会のほうが早いもんね〜
だからどうしたてか?そんなこと言わんといて~な!
10年目に突入だやね!
まぁ此処まで来れたのは上川謙市こと
俳号 屁散人(へさんじん)通称・屁さんのお人柄!
さて一昨年の八月、屁師匠が年甲斐もなく恋の悩みで入院。
再起不能の崖っぷち、此のままではイモに迷惑が掛かると
看護婦さんに頼んで一服盛ろうと計画。
看護婦さんもそういう事でしたらと気持ちよく了承、
しか〜し何故か?劇薬が良薬となってしまい、
一命を取り止めたが後遺症残ると医者に言われた。
あの時病院の窓に良い枝振りの百日紅が有ったので
皆で吊るしておけば…
歳旦帖などとめんどくさい物を作らないですんだものを、
あの時殺っとけばと思う今日この頃、野翁ちゃんも同意見。
それはそれとして句会は1月から第4週の金曜日に変更。
新会員の珍辰兄さんが登場。おもろくなるで〜
てな〜あ訳で今年も一杯やりながら苦作
ア〜ア歳旦帖。どうすんべえ?
それでは会員の皆様、季風さんを先頭に
残り少ないお時間を有意義に苦作し毛無し合い、
プレバトに負けぬよう日本一の句会を目指しましょう

1月
〇特選
道場に受身の響き寒稽古      野翁

ドローンより我が街をみる冬日和  季風
白波に轟く破竹どんど焼      むもん
絵馬に書く願ひそれぞれ初詣    風馬
初雀鳥居真つ直ぐくぐりけり    頑爺
目瞑ればかの世この世を日向ぼこ  屁散人

2月
〇特選
雪解けの滴る音に耳すまし     風馬

涅槃会や我には遠き調べなり    五窓歩
耳袋して亡き友のささやきが    季風
雪雲の去りて青空揺らす鯉     むもん
春一番母の薬を受け取りに     野翁
暮なづむ涅槃図に寄る雀どち    頑爺
洗濯機涅槃曇りを回りだす     屁散人

3月
〇特選
青天に綿雲流れ遍路みち      風馬

妻残し一人旅立つ鳥曇       五窓歩
臍の緒で繋がる親子春うらら    季風
雛の間をちらと覗きて猫が行く   むもん
春眠やタオルで母のへそ被ひ    野翁
ものの芽やみ仏笑めばほどけたる  頑爺
桐箱に臍の緒乾び鳥帰る      屁散人

4月
〇特選
春愁や母としりとり遊びかな    野翁

ことば尻とらへられたる花見酒   季風
春の野を平戸へ一歩腰押さへ    むもん
一合の酒傍らに春の昼       風馬
尻取りの「ん」ばかり続き春炬燵  頑爺
鶯の止みたる谷戸の動き出す    屁散人

5月(令和元年)
〇特選
退院の目処立たぬ母花は葉に    野翁

雲流れ大樹に消ゆる五月かな    季風
薫風を掴む令和の赤子かな     むもん
いつよりか鳥の囀り明け易し    風馬
鳥帰る舫船みな向き揃へ      頑爺
寂しさを味はふためや蛾の生まる  屁散人

6月(佐原吟行) 今月より特選2句に
〇特選
潮騒を聴く高さまで立葵      頑爺
牛糞の匂ひ巻き込み青田風     頑爺

青田行く旅の昔を懐かしむ     五窓歩
ひとすぢの古道に憩ふ青葉かな   季風
城址や桑の実ほどの栄華とも    むもん
蝸牛目を皿にして吟行す      野翁
里山に緑蔭つくり城の跡      風馬
谷戸出づる溽暑の牛に見据ゑられ  屁散人

7月
〇特選
八幡浜出でて豊後や秋近し     五窓歩
夕山に待つ子のあるか羽抜鳥    野翁

羽抜鶏鳴いて早起き急かしをり   季風
今年また花火肴に老いのこと    むもん
次郎長伝流す酒場や冷奴      野翁
空ながめ古びた日傘ひらきけり   風馬
緑蔭や母子は未来図育てをり    頑爺
窓に目を凝らす青葉木菟鳴かぬ夜は 屁散人

8月
〇特選
蜩やデイサービスの母帰る     野翁
池の面にゆつくり流る夏の雲    風馬

王手飛車誘はれ指すか夏の罠    五窓歩
定期券忘れて戻る残暑かな     季風
Tシャツの首から脱げぬ残暑かな  むもん
落書きの壁をたれたる残暑かな   頑爺
ともかくも今日まで生きて新豆腐  屁散人

9月
〇特選
妻なくし風に追はれて秋遍路    季風
野分け過ぎ原始の闇にスマホ鳴る  むもん

上弦の月仰ぎをり酔ひどれて    五窓歩
待宵やいつしか君に膝枕      野翁
秋の風屋台囃子の音をのせて    風馬
待宵や白湯で薬を飲む母と     頑爺
鰯雲己欺くことに慣れ       屁散人

10月
〇特選
この頃は赤子泣かぬや柿の家    季風
山裾へ沈む夕日や吊し柿      風馬

山抜けて千鳥に歩く谷戸の月    五窓歩
柿食はぬ三成まねて高楊枝     むもん
秋時雨母の薬のまた増えて     野翁
長き夜や窯の余熱を身ほとりに   頑爺
火恋し母の教へてくれし歌     屁散人

11月(浦賀吟行)
〇特選
秋惜しむ海の向かうは安房の国   季風
寄鍋の息吹き返す夕べかな     頑爺

西東叶神社や神無月        五窓歩
弁当を喰ふ船頭や秋時雨      むもん
きんつばは母へのみやげ酉の市   野翁
東西に響く渡しも冬に入る     風馬
息白く孫の手を引く散歩道     さと
神の留守ベルに呼ばるる渡し舟   屁散人

12月
〇特選
熱燗や内緒話が筒抜けに      季風
熱燗や親父の小言今もなほ     野翁

熱燗や雪見障子に佐渡の海     五窓歩
台所書き込み多し古暦       むもん
静かなるうねりとなりて冬の川   風馬
居眠りも炬燵の番と猫真似て    さと
熱燗や話の芯が崩れ出す      頑爺
年果つや谷戸へ沈みて鳶の影    屁散人